実際に2015年10月まで渋谷区内の2LDKのマンションで、Airbnbで部屋の一室を貸していたKさん(女性)に話を聞いた。

「きっかけは、ルームシェアをしていた友人が仕事の関係で出て行ってしまったこと。ひとりでは家賃が高すぎだったので。稼働率は90%くらい。ほとんど毎日だれか外国人が家にいる感じでしたね」

 トラブルはなかったのだろうか。

「当初は申し込みの条件として女性限定としていたんですが、ふたを開けてみたら男性がほとんど。自分の部屋に鍵を付けようかとも思っていたんですけど結局しませんでした。とくに大きなトラブルはなかったですね。一応最大1億円までの補償もあるということになっていますし。いま新しいシェアハウスに引っ越したんですが、ここでも空き部屋を利用してAirbnbに参加しないか提案しようと思っています」

 実際のところ「民泊」解禁は、大きな流れとなっているといっていいだろう。Airbnbの国内での登録件数は年々倍増しており、現在2万1000軒以上。2014年7月~2015年6月までの1年間で、Airbnbを利用して日本に滞在した「ゲスト」は52万5000人に及んでいる。滞在先は東京が47%、大阪・京都が38%と都市部に集中しているが、いつお隣が「民泊」となっていてもおかしくない状況だ。

「民泊」が一般化していく現状と、1948年に施行された現在の旅館業法は大きく乖離(かいり)している。11月26日、プレス向けに行われた会見でAirbnb Japan代表取締役の田邉泰之氏は「関係各所と協議をすすめつつ、時代の流れにあった、より現実的でわかりやすい法整備を求めていきたい」と語っている。

 11月27日から厚生労働省と観光庁が共催で、「民泊サービス」のあり方に関する検討会がスタート。来年の夏ごろをめどに方針をまとめる予定だ。この結果次第では、Airbnbが日本でさらにブレークする可能性もある。

(文・写真/松岡宏大)