不貞行為とは、配偶者以外の異性と自由意思で性的関係を持つこと――不倫について、日本の裁判例では、おおむね「本人たちの自由意思」で「性的結合」があったかどうかが、不貞、すなわち不倫か否かを左右するポイントとなっている。裏を返せば性的関係さえなければ不倫とは認められないということだ。離婚問題を数多く手掛けてきた女性弁護士が語る。
「実際に会って頻繁に食事をしている、手をつないでいる、キスしている……これらの行為が証拠として残っていても、裁判では不貞行為と認められにくいのが現状です。極論すれば、明確に性的結合があったとわかる物証でなければ不貞とは認められません」
平たくいえば「性的結合」さえなければ不貞行為(=不倫)ではないというのだ。
ならば性的結合さえ伴わなければ不倫ではないと考える人がいても不思議ではない。ましてやリアルで会ったこともない相手とのそれならばとても不倫とはいえないだろう。そこにはそんな思いが透けてみえる。
大阪府内に住むヒロコさん(40)もそうした考え方に賛同する。大学卒業後、大手百貨店に勤務し、結婚を機に退職。趣味はパッチワーク。カジュアルブランドの服装を着こなし、時計は高級時計という、一見、どこにでもいる平凡な都市部の上場企業勤務男性の妻だ。
そんなヒロコさんは今、SNSで知り合った愛知県内に住む既婚男性との「サイバー恋愛」にハマっている。既婚者同士のサイバー恋愛の実態についてヒロコさんが語る。