保育について語る尾木さん(左)と森さん(右)=写真・小山田滝音
保育について語る尾木さん(左)と森さん(右)=写真・小山田滝音
この記事の写真をすべて見る

 小さな子どもを持つ母親にとって、子どもの預け先がないということは深刻な問題。特に職場復帰を目指す母親にとってはシビアで、それはモデルという特殊な職業でも同じのようだ。

 厚生労働省の発表によると、2010年をピークに待機児童数は減少傾向にあるが、それでも未だ多くの子どもたちが認可保育所に入れずにいる。安倍政権は社会での女性の活躍を成長戦略のひとつとして掲げているが、実際には子どもの預け先がないことが、仕事復帰の妨げになることも少なくない。

 都内に住む女性(26)も、子どもの預け先に悩むひとり。1歳半の女児がおり、3歳になるまでに保育所に預けたいと考えているが、周囲の先輩ママが苦労しているのを目にしてきた。「預け先のことを考えると、気が重いです」と話す。来年度からは新しい保育制度がスタートし、認可施設が増えるほか、保育所を利用できる人の範囲が広がる。それで状況が改善されれば、という期待はある。しかし一方で「新制度だと周りに経験者が少ない分、あんまり情報が得られないんじゃないかと思って。そこは心配です」と不安も口にした。

 5日、千趣会の「1000 IDEAS FOR WOMAN」のイベントに出席した教育評論家の「尾木ママ」こと尾木直樹さんは、女性が仕事復帰にする際の保育の重要性を次のように話した。

「保育はすごく重要。日本は、女性の労働参加率などで世界142か国の中で102位だった、という報道もありました。そういう意味で、女性が保活で手間取らないようにすることは必要ですよね」(尾木さん)

 また同イベントに出席したモデルの森貴美子さんは、一児の母。雑誌「non-no」でモデルデビューし、現在も「LEE」「nina’s」などで活躍しているが、仕事復帰の際には苦労があったことを明かした。

「(出産後に)モデルの仕事に復帰するときに、預け先がなかなか見つからず、区役所に通っても、働きたい人がたくさんいて。なかなかサポートしてもらえるところがなかったんです」(森さん)

 さらに「同じモデルのママも、みんな同じことを言っています」とも訴えた。一見、子育ての悩みとは無縁に見えるママモデルたちも、水面下では、多くの母親たちと共通の苦労を抱えているようだ。