6月18日、歌舞伎俳優・中村勘三郎(57)が初期の食道がんであることを発表した。幸いまだ初期とのことで、9、10月に行われる長男・勘九郎の襲名披露公演は休演。治療につとめ、年内復帰もありうるということで、ファンは胸をなでおろした。ところが――。
関係者から漏れ聞こえてくる勘三郎の体調は、何やら深刻そうな様子がうかがえるのだ。5月の平成中村座公演では動きも声のハリも休養前と遜色(そんしょく)なく見えた勘三郎だが、公演関係者が舞台裏をこう打ち明ける。
「公演の後半は、舞台に出るまで袖で誰かが支えていないと倒れこんでしまう状態だった。8月に予定されていた地方公演でも、舞台上で声が出なくなったときのことを想定し、声だけで出演する"代役"を用意することまで考えられていた」
今年4月には、「桜が咲く今、元気になりましたから」(文藝春秋6月号)などと発言していた。しかし、実際の体調はそこまで万全ではなかったとの見方が強い。昨秋からの平成中村座公演は病気療養後初めてのロングラン公演とあって、勘三郎本人も不安を感じていたようだ。8月に予定されていた地方公演も未発表のまま、お蔵入りになった。
今回の静養の理由は、「平成中村座千秋楽後の6月1日に入った人間ドックでがんが見つかった」とのことだ。しかしタイミングを考えると、がんの有無にかかわらず静養が必要な状態に陥っていた......という可能性が大きい。
※週刊朝日 2012年7月6日号