「カルトは、最初は正体を隠し宗教色は一切表に出さない。サッカーや外国語、ボランティア、自己啓発セミナー、ヨガ、ゴスペルなどさまざまなダミーサークルをつくり近づく。今と昔で違うのは、勧誘の仕方が路上での声かけから、LINEやツイッター、インスタグラム、フェイスブックなどのSNSに変わったことくらい。あとは基本的に同じです」(岩野さん)

 典型的な手口はこうだ。

 ファーストステップとして、例えばゴスペルが好きとSNSで投稿している若者がいると、カルト信者は「いいね」ボタンを押す。次に、ゴスペルサークルを装い一緒にやらないかとコメントを送る。もちろん宗教団体とは名乗らない。何回かコメントのやり取りをした後、サークルに誘い、仲良くなって信頼関係を築いていく。そして次のステップで初めて、宗教であることを明かす……。

 岩野さんによれば、「オウム真理教」が「アレフ」と改称したように、カルト教団は問題が起きると名前を変えるので見極めるのは難しいという。また最近は、冒頭の女性のように「女子会」を装って誘うケースが増えたと指摘する。「女子会」は、参加者が女性だけという安心感から気軽に参加しやすいので、カルトはそこに目をつけた。

「最初からカルトに入ろうと思って入会する人はいない。結果として、そこがカルトだったということです」(岩野さん)

 オウム真理教は現在、後継団体の「アレフ」、そこから派生した「ひかりの輪」、さらに内部対立でアレフから分派した「山田らの集団」と主に3団体に分かれ活動している。公安調査庁によれば、信者数はここ数年大きな変化はなく計1650人前後で推移する。

 同庁の担当者は言う。

「特に若者の勧誘に力を入れているのがアレフ。毎年100人近く脱会するが、ほぼ同じ数の新規信者を獲得し、その約7割が34歳以下の青年層。20代の大学生もいます。事件の記憶がない、あるいは薄い若者ほど狙われやすい」

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