(A)では、逃げ続けることで当時、逃亡中だった平田信被告と接近できることに思いを馳せている。「邪悪心」とは、性愛を禁じたオウム真理教の教義に沿って「愛情」を表現したようだ。平田被告への思いは、別の箇所で〈肉体に対する愛着〉とも書いており、異性として特別な感情を抱いていたことがわかる。

 一方、(B)に出てくるサリン事件実行犯の林泰男死刑囚については〈捨てられたことへの恨み〉という記述もある。出頭することで林死刑囚の潜伏先を警察に教え、ペアを組む女性信徒Oとの仲を引き裂く―----そんな計画が頭をよぎっていたようだ。

 この後、菊地容疑者は埼玉のアジトからともに逃げた克也容疑者と約10年間にわたって同居した後、高橋寛人容疑者(犯人蔵匿容疑で逮捕)と暮らし始めた。

 そして今回の逮捕で、警察の取り調べに対し、「(オウム陸上部でコーチ役とされる)中川智正(死刑囚)さんと一緒に逃げたかった」

 と意外な"本命"まで明かしたという。

「彼と愛し合うようになり、生活を変えたくなかった」

 警視庁の調べに対し、これまで出頭しなかった理由を語ったこの無責任な供述に、彼女の信仰、犯罪、逃亡のすべてが表れている。

※週刊朝日 2012年6月22日号

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?