「FMWでのファイトを見て声をかけてくれた。何か得られるのでは、と思って参戦した。『ハードコア』を貫くことでタイトルも獲得することができた。ずっと自分のプロレスにはプライドがあった」
大仁田厚が立ち上げたFMW在籍時、友好関係にあったECWへ遠征し認められた。鍛え上げた肉体に加え、椅子や机など凶器も試合に取り入れる『ハードコア』スタイルは全米を熱狂させた。
「向こうでタイトルを取れたのは自信になったし、プロレス界での自分の名前が上がった。ECWの経験は大きかった」
帰国後は小規模団体だけでなく全日本や新日本にも参戦。『弾丸戦士』はレジェンドの1人になりつつある。
■プロデューサーや団体の姿勢が重要
日本人レスラーが海外で結果を残すためには、団体との相性や親和性が重要だ。
団体側がレスラーの個性を見極め活かすことができなければ存在感を示すことは不可能。ECW代表ポール・ヘイマン(*1)の存在が大きかった、と田中は振り返る。
「最初はハードコアではなく、リング上のオーソドックスな形で戦い自分でも納得できるファイトではなかった。次はないかな、と思っていたら再び呼ばれ、『スタイルの合う選手をブッキングしたから思い切りやれ』と言われた。自分の形でガンガンやったら、お客さんも喜んでくれた」
団体としての確固たる方向性が決まっていて従業員すべて(=レスラー)が同じ方向を向いている、と語るのは新崎。柱となるべき選手を周囲がしっかりサポートする体制が徹底している。
「エースにしたい選手を盛り立てていく中で、自分の立ち位置も変化した感じ。参戦当時はスター選手と対戦するヒール(悪玉)的立場。そこからベビー(善玉)的になった。所属選手それぞれ役割があり徹底している。求められたことを正確にこなせるから、日本人選手が重宝されるのもあるのではないか」
■従来からある道場制の役割。
よく言われる日本人レスラーの技術や体力面が優れている、という評価。これは昔ながらの道場という存在が理由の1つと田中は言う。