新型コロナウイルスの感染拡大は、企業説明会のオンライン化が進むなど就活も変化を余儀なくされている。経済の混乱は長期化する予想もあり、学生たちには不安が募るばかりだ。今後、就活はどうなるのか、就活生は何に気をつければいいのか。AERA2020年3月30日号は採用のプロに尋ねた。
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パソコンやスマホで手軽に参加できる説明会は、企業の“温度”を感じづらい。チャット機能で人事や採用担当者と会話することもできるが、無難な質問にしか回答しない会社もあるなど問題があり、企業研究がスムーズにいかないこともあるという。
就活の過度なオンライン化に警鐘を鳴らす声もある。
「リアルな出会いの場が欠如し、業界・企業研究が不十分なまま活動する可能性が高い」
と指摘するのはマイナビのリサーチ&マーケティング部の栗田卓也部長だ。
さまざまな企業のブースが設置される合同説明会は、学生が関心のなかった業界や企業を知るチャンスになっていた。だが、オンライン就活が主流となり、こうした偶発的な出会いや興味を広げる機会が減少。企業を顧客とするBtoBの企業や中小企業を視野に入れる学生が少なくなるのではないかと危惧する。
さらに、大企業への“誘惑”もある。採用コンサルタントの谷出正直さんはこう指摘する。
「これまで、大手の自社説明会はすぐに『満席』になり、エントリーをあきらめる学生がいましたが、ウェブ説明会は多くの学生が視聴でき、見ればエントリーしたくなる。大企業に引っ張られてしまう学生がより増えています」
オリンピック景気も相まって近年の就活は売り手市場だと言われていたが、一部の企業に学生が集まれば、自然と倍率は高くなり、内定獲得までのハードルも上がる。
先行きが見えない現状に加えて、加速する大手志向。採用方法を変える企業も出始めている。
「Webシューカツ推進委員会」が賛同企業に行った調査では、約3割が採用の母集団の集め方を変更するとした。その多くはベンチャーや中小企業で、うち58.5%が、学生のプロフィルをもとに選考やインターンの案内をするダイレクトリクルーティングを利用すると回答。ダイレクトリクルーティングとは、学生からの応募を待つのではなく、積極的にアプローチする姿勢だ。