「こういう状況なので仕方ない部分はありますけど、最善策を取ってなるべく早めに開幕日を決めてもらいたいと思います。そうすれば、そこから逆算(して調整)できるので」と話していたのはヤクルトの選手会長である中村悠平だが、おそらくどの選手も思いは変わらないはずだ。どこを目指して調整すればいいかわからないまま、真剣勝負ではない練習試合を続けていく難しさもあり、チームの看板スターの山田哲人も「(モチベーションの)持っていき方がわからない。本当に難しい」と困惑の色を浮かべていた。
もっとも、その開幕延期も必ずしも選手にとってマイナスというわけではない。ケガなどにより調整が遅れている選手、あるいは状態の上がっていない選手は、調整期間に“猶予”ができるからだ。
20日の試合後、「(開幕延期は)残念ですけど、調整する期間も練習する期間もあるので、しっかり調整していつ開幕してもいいように準備したいです」と話したのは、下半身のコンディション不良のためキャンプの途中から別メニュー調整を続け、3月に入って一軍に合流したばかりの昨年の新人王、村上宗隆。オープン戦で打率.100と苦しんでいたプロ18年目の雄平も「調子が上がってないんで、そういった意味では助かっています。とにかく開幕に100%で行けるようにしたいですね」と、“猶予”ができたことを前向きに受け止める。
新外国人のアルシデス・エスコバーのように「野球ができるだけいいよ。今、アメリカでは何もできないからね。開幕が遅れるのは残念だけど、こういう状況では仕方ない」という選手もいる。新型コロナウイルスのパンデミックにより、メジャーリーグは春季キャンプ中断、オープン戦も中止となったまま動きが止まっているだけに、メジャー通算1367安打の助っ人は「野球ができる喜び」を噛みしめている。
どの選手も一様に望んでいるのは、スタンドを埋めた大勢のファンの前でプレーすることだ。村上が「こういう(無観客の)雰囲気で野球をやるのは初めてなので、ファンの皆さんのありがたみをすごく感じます」と口にすれば、雄平も「(無観客でも)同じようにやってるつもりですけど、応援があると自然とアドレナリンみたいなものも出てくると思います。打った時の歓声もそうだし、全然違いますね。やっぱりファンあってのプロ野球なんで、お客さんがいる中でやらないとダメだと思います」と力説する。