ヤクルト山田哲人 (c)朝日新聞社
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 午後1時のプレーボールが間近に迫り、これぞ野球日和という晴れわたった青空の下、ヤクルトのナインがフィールドに広がっていく。春らしい暖かな陽気にも恵まれ、神宮球場は2020年シーズンの開幕を待ちわびていたファンの大歓声に包まれる……はずだった。

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 実際には見渡す限り無人のスタンドは、耳を澄ますまでもなく静まり返ったまま。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本プロ野球機構(NPB)は今シーズンの開幕を4月10日以降に延期すると発表し、この3月20日から行われるはずだったヤクルト対阪神の開幕3連戦も、無観客の練習試合に変更されていたのである。

 これが公式戦であれば選手たちのプレーはすべて公式記録に残り、チームの勝敗は1試合ごとに順位表に反映されるが、調整のみを目的とした練習試合はオープン戦のように非公式試合として記録に残ることもない。球団同士の申し合わせにより特別ルールで行われた一戦は、3点リードのまま9回表を守り切ったヤクルトが、普通ならあるのはずのないその裏の攻撃で2点を追加し、7対2で勝利を収めた。

 幻の“初陣”を白星で飾った高津臣吾新監督は「1勝0敗!」と笑顔を見せながらも、開幕延期に関しては「僕らは頭で考えている難しさ。選手はそれにプラスして体調面であったりもっと難しいでしょうし、本当に開幕する時に100%の力を発揮できるように、しっかりと準備させてあげたいなと思います」と、選手たちを気遣ってみせた。

 通常、選手たちはシーズン開幕から逆算し、自主トレ、キャンプ、オープン戦を通じてベストな状態に持っていく。夏に東京五輪が開催される予定だった今シーズンは、例年よりも1週間ほど早いこの時期に開幕を迎えることになっていて、皆それに合わせて調整を続けてきた。

 東日本大震災が発生した2011年にも開幕が延期されたことがあったが、この時は3月24日の時点で、両リーグともに4月12日の開幕で日程を再編していた。だが、今年は3月12日にNPBが開幕延期を決めたものの、4月10日以降の複数の日程で検討するとして、開幕日を明確にしてはいなかった。

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無観客試合で感じるファンへの“感謝”