ケガの影響もあり途中からは負けが込んだが、キャリアのスタートからそうそうたるメンツと対戦しながら、通算の戦績は26勝17敗と勝ち越し。試合前の入場、ガチンコの試合の中で見せる変幻自在の戦いぶり、試合後のマイクパフォーマンスなど、常にファンを喜ばせる姿勢は、戦いの場が総合格闘技のリングであってもプロレスラーであることを忘れさせなかった。
2017年には現在の総合格闘技の最高峰であるUFCの殿堂り。UFCのデイナ・ホワイト社長も桜庭の“大ファン”と公言しており、能力を高く評価。自身より大きな相手との対戦により桜庭はキャリアを破壊されてしまったが、適正体重の階級で戦っていれば日本だけではなく世界のスーパースターになりえる存在だったと賛辞を送っている。
桜庭の次に名前を挙げたいのは「猪木イズム最後の闘魂継承者」と言われた藤田和之だ。藤田は桜庭同様にレスリングがベースでタックルの技術なども素晴らしかったが、総合格闘家というよりもこれぞプロレスラーといった“野獣”のような肉体もプロレスファンにとってはたまらなかった違いない。
桜庭と同じく、当時の世界トップファイターたちと激闘を繰り広げ、戦績は18勝14敗。「PRIDE GRANDPRIX 2000 決勝戦」では、桜庭のホイス撃破とともに「霊長類ヒト科最強」と呼ばれた強豪マーク・ケアーを判定で下し、格闘技人気に火が付くキッカケを作ったといっても過言ではない。
最もファンが熱狂したであろう試合は、間違いなくエメリヤーエンコ・ヒョードル戦だろう。当時は「誰も勝てないじゃないか?」と思うほど圧倒的な強さを披露したヒョードル相手に、結果的にはチョークスリーパーで敗戦となった。だが、右フックでヒョードルをグラつかせたシーンは、日本の格闘技ファンなら誰もが思い出す名場面の一つとなった。
藤田の能力についてはヒクソン・グレイシーとも対戦したプロレス出身の格闘家である船木誠勝も称賛。自身のYoutubeチャンネルでの「セメント最強のレスラーは?」というテーマの動画で、藤田を選出している。