一方、多くの企業で想定外の長期的なテレワーク。社員のコミュニケーションやメンタルにどのような課題が生じるのか。
「オンラインでは“空気”で理解しあっていた要素が弱まる分、言葉を強くしないといけない。コミュニケーションが英語っぽくなる側面があります」
こう指摘するのは、産業医の大室正志さん(42)だ。言葉が強くなる分、誤解されやすくなる面も。例えば「この件どうなってる?」と質問しただけでも、相手がどんな人かわからないと「怒っているのかも」と感じてしまうことも。さらには、人気のコミュニケーションツール「Slack(スラック)」で「矢継ぎ早に強い口調でメッセージを飛ばしまくる「スラハラ(スラック・ハラスメント)」と言える例も出てきている。
「『スラックを見るのが怖い』という人もすでに出ています。ツールはあくまで手段。オンラインに変わっても、結局は普段からの人間関係の構築が重要です」(大室さん)
皮肉にも「働き方改革」の改革を推し進める形となったコロナ対策。だが、こんな時だからこそ前向きに捉えたい。求められているのは、オンラインツールに合わせた業務や社内コミュニケーションの“棚卸し”だ。(ライター・市岡ひかり、編集部・福井しほ)
※AERA 2020年4月20日号より抜粋
【お知らせ】
AERAでは、テレワークに関するアンケートを実施。在宅勤務ができず、出社していると回答した400人超の声を集め、取材しました。4月27日号(20日発売)に掲載します。