同社では全従業員に対し2度にわたってアンケートを実施。

「通勤ストレスから解放された。リモートを制度化してほしい」といった高評価が多い一方で、「自宅用に椅子を購入した」「光熱費が上がった」といった、思わぬ出費を訴える声も。人によっては月に5千円程度出費がかさんだという人もいた。

 そこで、分科会を通じて何ができるかを検討。リモートワークの実施で、会社の光熱費や、福利厚生の一環で無償で食事を提供していた費用が浮いた。これを原資とし、社員への光熱費の補助などに充てることを検討している。

 取締役兼グループコミュニケーション部部長の福井敦子さんは言う。

「当社は元々オンラインミーティングに慣れていたが、長期化すればちょっとしたコミュニケーションロスも起きやすくなる。ズームをつないだままランチしたり雑談したりといった“緩さ”も重要だと感じています」

 資金面で社員を支えようという取り組みは、他の企業でも広がっている。ドワンゴでは、リモートで光熱水費や通信費がかさむといった声を受け、約1千人の従業員を対象に週551円の電気・通信手当を支給する。

 経済ニュースウェブメディア「NewsPicks」などを運営するユーザベースも、混乱なくリモートに移行した企業の一つだ。中国内のロックダウンを受け、1月27日から全社的に原則在宅勤務に切り替え、全社での定例会やミーティングなどもオンライン上で開催。こうした働き方は以前から日常的だった。同社執行役員の松井しのぶさんは言う。

「これまでも集中したいときはリモートを取り入れるなど働き方は自由でした。きちんと結果にコミットできればプロセスは問わない」

以前は会社でしか取ることができなかった代表電話やカスタマーサポートの電話は、総務チームの取り組みで数年前に各自の携帯でもとれるように。こうした準備が、一斉リモートとなった現在に生きている。

 同社の他にも、ヤフーやフェイスブック、ドロップボックスなどITが主軸にある企業はリモートへの移行は比較的スムーズだったという。

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