一方のパ・リーグでは1991年の西武と2017年のソフトバンクの38失策がシーズン最少記録であり、当時のメンバーは以下となっている。
・西武(1991年)
捕手:伊東勤★
一塁:清原和博
二塁:辻発彦★
三塁:石毛宏典★
遊撃:田辺徳雄
左翼:森博幸
中堅:秋山幸二★
右翼:平野謙★
・ソフトバンク(2017年)
捕手:甲斐拓也★
一塁:内川聖一
二塁:本多雄一
三塁:松田宣浩★
遊撃:今宮健太★
左翼:中村晃
中堅:柳田悠岐★
右翼:上林誠知
★はゴールデングラブ賞を受賞
どちらも黄金時代のチームであり、錚々たるメンバーが並んでいる。西武は打撃のイメージが強い清原も含めて全員の守備の意識が高く、まさに隙のないチームである。翌1992年に外野の一人(佐々木誠・当時ダイエー)を除く全ポジションでゴールデングラブ賞を受賞するという快挙を成し遂げている。しかし唯一固定できないのがレフトだった。当時、外野の控えには球界一の強肩と言われた羽生田忠克がいたが、もし羽生田がライトのレギュラーを獲得して、平野がレフトに回るような布陣をとることができれば、より強力な守備布陣となっただろう。
2017年のソフトバンクは甲斐と上林の守備力のある若手二人がブレイクした年であり、シーズンでも2位に13.5ゲーム差をつけてダントツの優勝を飾っている。しかしこちらもセカンドに穴があり、本多、川崎宗則、川島慶三、明石健志などが守ったが、最後まで固定することができなかった。この穴は現在も完全には埋めきれず、今シーズンも課題として残っている。両チームを見ると、いかに全ポジションを埋めきることが難しいかがよく分かるだろう。
1992年の西武と並んで歴代最多となる8ポジション(投手の山田久志を含む)でゴールデングラブ賞(当時はダイヤモンドグラブ賞)を獲得したのが1978年の阪急だ。
・阪急(1978年)
捕手:中沢伸二★
一塁:加藤秀司
二塁:マルカーノ★
三塁:島谷金二★
遊撃:大橋穣★
左翼:蓑田浩二★
中堅:福本豊★
右翼:ウイリアムス★
★はダイヤモンドグラブ賞を受賞
マルカーノと大橋の二遊間、蓑田、福本、ウイリアムスの外野陣は今でもその守備が語り草になっている。サードの島谷もダイヤモンドグラブ賞を4回受賞。またこの年、チームで唯一ダイヤモンドグラブ賞を逃している加藤も前年まで3年連続で受賞しており、守備の上手い選手である。強いて言えば捕手の中沢はダイヤモンドグラブ賞の受賞が1回と他の選手と比べると少し見劣りするが、長くチームを支えた名捕手であることは間違いない。穴の無さという点では1991年の西武、2017年のソフトバンクを上回っていると言えるだろう。