山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
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写真はイメージ(GettyImages)
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「外出自粛による心身への影響」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言が出されてから、2週間が経ちました。16日には、緊急事態宣言に基づく緊急事態措置を実施する区域が全国に拡大しました。

 今回の宣言は、イギリスやフランス、ニューヨーク州など世界の多くの地域で実施されている「都市封鎖」とは違います。義務や罰則もありません。あくまで要請なのです。そのため、自分は無症状の感染者だと思い、他人に感染させないような行動をとりましょう、不要不急の外出は自粛しましょう、Stay home (家にいましょう)、密閉・密集・密接が重なる3密は避けましょう、と至る所で呼びかけられています。

 2月中旬あたりからでしょうか。クリニックでも不要不急の外出自粛の影響を感じるようになりました。内科や皮膚科、小児科を受診される患者さんの数が減り始めました。休校措置や在宅勤務への移行、さらには新型コロナウイルス感染の院内感染報道や医療機関への受診自粛(発熱しても4日間は自宅で様子をみてくださいといった声かけ)などによって患者数は次第に減少し、緊急事態宣言後は激減と言っていいでしょう。

とはいえ、受診される方ももちろんいらっしゃいます。「保健所に電話したけれど、クリニックを受診するように言われた」という方や「風邪をひいてしまった」「花粉症がまだひどい」「お腹が痛い」「毎日飲んでいる糖尿病や高血圧、コレステロールの薬がなくなった」「風邪症状が辛いが受診してもいいのか分からなかった」という方が内科を受診しています。もちろん、「明日から在宅勤務になるので、いつもの薬を多めに欲しい」と受診される方も多いです。初診でもオンライン診療が開始になってからは、「在宅勤務になり、いつもは勤務後に寄っていたのが受診できなくなったので、薬を希望したい」という方も増えています。

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震災後の避難生活が身体に与えた影響の報告は参考になる