また、治療薬として期待が高まるアビガン(ファビピラビル)やオルベスコ(シクレソニド)などを使用している医師、ICU(集中治療室)での管理が必要となる患者や、人工呼吸器を装着する患者などの対応にあたっていると思われる医師もいた。

 今問題になっているのが、病院内で感染者が広がる院内感染だろう。東京では永寿総合病院(台東区)や慶応義塾大学病院(新宿区)、中野江古田病院(中野区)、富山では富山市民病院などで疑われる事例が起きているが、アンケートにも、

「院内で発生。(感染者を受け入れる)陰圧室の運用や、感染対策のための防護服の着脱方法などの研修会が開かれた。感染者が発生した病棟は閉鎖され、新規の受け入れ停止。救急外来も一時的にストップとなった」(中部地方・30代・産婦人科)

 という回答があった。

◇   ◇
 大阪市長が4月14日に、「ガウンの代わりに雨がっぱを」と市民に呼びかけたところ、30万枚集まったという。実際、マスクやガウンなどの感染防御に必要な備品不足は切実だ。ほぼ半数が「1~2カ月で不足する」と回答し、「すでに不足している」という回答も含めると、9割の医療機関で不足している状態だ。

 政府は3月、全国の医療機関に対して1500万枚のサージカルマスク(一般的な不織布のマスク)を配布したが、京都でクリニックを開業する一般内科のC医師(60代)は、

「最初に渡されたのは、1医療機関にたった10枚。後から新たに配られましたが、それでも50枚入りのものが1箱だけです」

 と語る。前出のA医師も、

「通常なら患者さんごとに使い捨てているマスクを、今は4、5日間使い続けています」

 と話すが、それでもまだましなほうだと言う。

「知り合いの勤務医は、1週間使い続けるようにという指示があったそうです」

 鹿児島県の医療機関に勤務する呼吸器外科のD医師(50代)は、マスクは1日1枚以上使わないようにし、ガーゼをマスクと口の間に挟んで、ガーゼをまめに取り換える工夫をしている。同県では感染者は少なく、D医師が勤務する医療機関でも感染者は出ていない。

「ですが、こうした工夫をしないと、マスクが足りなくなるのではないかという不安がつきまといます」

 埼玉県で療養型病院と介護老人保健施設に勤務する一般内科のE医師(60代)によると、2週間前、政府から老健施設に布製のマスクが送られてきたという。

「スタッフ1人につき1枚。布製のマスクで洗って使っています。もちろんこれでは不安です」(E医師)

次のページ