まず、直感が利く母語を使って、ことばの性質について感じ取ることが非常に重要です。そのあとで、同じ性質を共有する英語なり外国語を学べば、しっくりハマるのです。母語を使って形成された「ことばに対する意識や感性」が外国語学習において決定的な役割を果たすからです。たとえば英語は日本語と違って助詞がないので、語順がとても重要であると気づくこともできるでしょう。

 言語の根幹には文法があるのですから、必要であれば、聞く、話す、読む、書くときに使えるように、英語の基礎的な文法をきちんと教えるのが学校教育のやるべきことだと思います。

 グローバル社会に対応するためというなら、日本国内の多言語化にも着目しなければなりません。多くの外国人家族がいま日本に移住しています。日本で育つその子どもたちには日本語教育だけでなく、親の母語(継承語)をどう守ってあげるのか、それも今後の日本における言語教育の重要な課題です。

(構成/稲田砂知子)

※「AERA English 2020 Spring & Summer」から抜粋

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