アユ役の安斉かれん(左)とマサ役の三浦翔平(右)(C)テレビ朝日/AbemaTV,Inc.
アユ役の安斉かれん(左)とマサ役の三浦翔平(右)(C)テレビ朝日/AbemaTV,Inc.

 コロナショックにより、4月スタートの連続ドラマが軒並み撮影休止となり、ゴールデン帯のドラマはほぼ壊滅状態。そんななか、ひとり気を吐くのが「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系)だ。5月9日放送の第4話は撮影スケジュース変更のため、放送が延期になり、変わりにダイジェスト版が放送されるが、それでも他のドラマの放映がほぼなかった4月~5月初旬にかけて、「『M』くらいしか観るものがない」という状態にあり、注目を集めた。民放ドラマ制作スタッフは言う。

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「深夜ドラマは予算が限られているのでスケジュールをコンパクトにし、集中的にまとめ撮りをするのが通例です。『M』もなんとか3回までオンエアができたのだと思います。ゴールデン帯のドラマがほぼやっていなかったので、いつも以上に深夜ドラマに注目が集まったという側面もありますが、やはりドラマとしての作りも相当面白いんです」

 同作は浜崎あゆみの半生を描いた原作小説をもとに、人気放送作家の鈴木おさむ氏が脚本を担当。原作は浜崎をデビューさせ、カリスマ的存在にまで大ブレイクさせたエイベックスの創設者・松浦勝人氏によるものだが、実は浜崎のプロデューサーだけではなく恋人でもあった、ということを初めて明かしたことで話題になった。

「ドラマ本編は浜崎さんが松浦氏と出会うところから始まるのですが、その脚色ぶりがとにかくすごい。浜崎役を演じる安斉かれんのナチュラルな棒読み演技は結果的に“アユ”っぽいですし、小室哲哉を想起させる敏腕プロデューサーの過剰なキャラ設定やデビューできるかどうかをマラソンで決めるというくだり、競争相手の陰謀で肩を脱臼させられたアユがそのまま走って1位になるなど、やりたい放題(笑)。SNSでは過剰な演出で一時代を築いた『大映ドラマ』の再来と大盛り上がりです」(前出のスタック)

 たしかに、田中みな実演じる「謎の眼帯をした女性マネージャー」がアユの足を引っ張ろうと画策したり、水野美紀演じるスパルタ鬼教師がトリッキーな指導をし続けたりと、往年の大映ドラマ「スチュワーデス物語」や「スクール☆ウォーズ」を彷彿とさせるシーンが散見される。

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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「アユ」「アユ」言いまくるのも面白い演出