■保育士がコロナに感染……そのときに親はどう思うか
お昼のテレビ番組で、富山県の保育士が新型コロナウイルスに感染したことを受け、ある女性アナウンサーが「たくさんの命を預かっている先生なんだよってことを本当に自覚してほしい」と、批判したことが話題になりました。
この保育士は、3月24日に飲食店で友人と食事などをしたとのこと。その後、友人が新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになり、検査の結果、保育士も感染していると判明したそうです。アナウンサーは、「親たちはマスクを着用し、園内に立ち入らないよう徹底して感染リスクを減らしているのに、肝心の保育士が感染していては無意味になる」と怒りをあらわにしました。
彼女の発言に対し、親たちからは「保育士を敵に回した」とか、「利用してやってる感がすごい」といった声が殺到したそうです。でも、「友人と遊んだ結果、新型コロナウイルスに感染した人」に関してどう思うか聞かれたら、このアナウンサーではなくとも、「危機感が足りないのでは」という旨の回答をするでしょう。
軽々しく「ストレスがたまっているだろうから仕方がない」なんて言えば、さらにバッシングされるのは明らかです。そういう意味では、コメントしようにも選択肢は一つしかない質問だったと思います。
ただ、テレビの趣旨を含め、彼女のコメントには、自分たちを守るために保育士を責めるスタンスが強くにじみ出ていて、保育士の背景に触れる配慮は一切ありませんでした。今、保育園がどのような状況下にあるのかなんて、少し考えればわかりそうなものなのに……(さらに、彼女は別のテレビ番組で、子どもを保育園に送ってからカラオケでストレス発散をしていたことが判明し、火に油を注いでいましたが)。
そもそも保育士は、以前から責任の重さや仕事の大変さに比べ、給料が安いという指摘がなされ、改善が求められていた職業でした。そこに今回のコロナ騒動が加わったことで、現場の過酷さはピークに達しています。