古くより、「間」を大事にする日本人は、ピッチャーにおいても総じて投球間隔が長い傾向にある。だが近年は各投手の「テンポ」に対する意識も高くなり、2016年から「スピードアップ賞」としてシーズン中、無走者時に平均投球間隔の短かった投手が表彰されるようになった。

 これまでバルデス(中日・16年、17年)、牧田和久(西武・16年、17年)、三上朋也(DeNA・18年)、多和田真三郎(西武・18年)、C.C.メルセデス(巨人・19年)、高橋礼(ソフトバンク・19年)が受賞している。また、日本が優勝した昨秋の「プレミア12」では「投球間隔20秒」のルールが国際大会で初めて採用されたが、侍ジャパンの首脳陣がシーズン中に計測した限りでは投手全員が合格点で、各自の心掛けもあって、本番でも大きな問題にはならなかった。

 それでも投球間隔の長さがすべて「悪」という訳では決してないだろう。温故知新という言葉もある。目的は、野球が「より魅力のあるスポーツ」になること。スポーツに限らず、何でもスピードと効率が重要視される現代社会だからこそ、一球一球の間に流れる時間を改めて愉しみ、今度どうあるべきかを考えてみるべきだろう。