PEDとMEDの棲み分けはどうなっているのか。
医療機関によって異なるが同院の場合は、軽症例、上部(首に近い側)に生じたヘルニア、横に飛び出したヘルニア、再発ヘルニアなどはPED、ほかの巨大なヘルニア、狭窄症などを合併しているヘルニア、変性が進んでいるヘルニアなどはMEDを実施することが多いという。背中が丸まった高齢者のヘルニアもMEDで対応可能だ(表)。
■まず保存療法から 安静時のマヒは手術
一般的に、若い人のヘルニアや脱出したヘルニアは自然に引っ込むことが圧倒的に多い。そのため保存療法から始めるのが、基本的なスタンスだ。
一方、急に下半身に強いマヒやしびれが表れたときや、排尿・排便ができなくなったとき、保存療法で改善しないときなどは、手術の適応となる。
「安静にしていても症状がある場合は、すでに神経の逃げ道がなくなっている可能性がある。早めに手術をしないと傷ついた神経が元に戻らなくなり、症状が残ってしまう可能性があります。主治医に相談したほうがいいでしょう」(同)
内視鏡手術は背中を大きく切る開窓術よりも高い技術が必要で、合併症のリスクもある。開窓術と同様、手術中に血腫ができマヒや痛みが出たりすることもあるが、感染で再手術が必要になることは少ない。
「手術ですべてが解決できる、というものではありません。例えば、手術でヘルニアを摘出すると一時的に腰が不安定になることもあります。“手術ありき”ではなく、再発予防のためのリハビリや運動療法、生活指導も含め、ていねいに対応してくれる医師を選ぶことが大切です」(同)
なお、全国の医療機関の腰椎椎間板ヘルニアの手術については、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』の特設サイトに掲載。ランキングのほか、病院選びの目安、セカンドオピニオンについての情報も掲載されている。
(本誌・山内リカ)
≪取材した医師≫
出沢明PEDクリニック 理事長 出沢明医師
岩井整形外科内科病院 院長 高野裕一医師
※週刊朝日 2020年5月22日号