福島の原発事故以降、稼働中の原発は1基となり、日本の発電量は火力発電が9割近くになった。東京電力は、電力不足を火力発電で補うために、燃料費が年8千億円以上も増えると説明し、企業向け電気料金の平均17%値上げに踏み切った。今後、家庭向け電気料金も引き上げが必至だ。東電の西沢俊夫社長が昨年12月の記者会見で、「値上げは事業者の義務であり、権利でもある」と放言したのも、実は電力業界の不可解な"カラクリ"があるからだ。
電気料金は、国が定めた「燃料費調整制度」に基づく。この制度は、燃料の値上がりや為替変動による輸入価格の上昇分を自動的に上乗せできる。つまり、購入費用が高くなれば、それを利用者に押し付けられる"おいしい仕組み"だ。
3月29日に発表された5月分の家庭向け電気料金でも、原発を持たない沖縄電力を除くと9社中3社で値上げし、4社で値下げする。値上げの主な理由は原油価格の高騰だ。
※週刊朝日 2012年4月27日号