鶴見大学のグループは、インプラントと天然歯の両方がある患者さんの口の中から代表的な6つの歯周病菌を取り出して調べました。その結果、インプラント周囲の歯肉ポケットから検出される細菌と、天然歯から検出される細菌で同じ種類のものが多いことがわかりました。

 また、天然歯の歯周病が進行している人では、悪玉菌と呼ばれる病原性の高い歯周病菌、レッドコンプレックスの3種(P.g菌、T.f菌、T.d菌)が目立って多いという結果が得られたのです。さらに同一の歯周病菌を詳しく調べると菌株が高い確率で一致。これらのことから、天然歯の歯周病菌が唾液を介してインプラント周囲に感染し、炎症やインプラント周囲炎の引き金になっていることが考えられるのです。

≪まとめ≫
・同じ人の口腔内でインプラントと天然歯の細菌を調べると同じ種類のものが多く見つかった
・天然歯が歯周病の場合、歯周病菌がインプラント周囲に感染する可能性が高い

※『続・日本人はこうして歯を失っていく』より

≪著者紹介≫
日本歯周病学会/1958年設立の学術団体。会員総数は11,739名(2020年3月)。会員は大学の歯周病学関連の臨床・基礎講座および開業医、歯科衛生士が主である。厚労省の承認した専門医・認定医、認定歯科衛生士制度を設け、2004年度からはNPO法人として、より公益性の高い活動をめざしている。

日本臨床歯周病学会/1983年に「臨床歯周病談話会」としての発足。現在は、著名な歯周治療の臨床医をはじめ、大半の会員が臨床歯科医師、歯科衛生士からなるユニークな存在の学会。4,772名(2020年3月)の会員を擁し、学術研修会の開催や学会誌の発行、市民フォーラムの開催などの活動をおこない、アジアの臨床歯周病学をリードする。