東京などで外出自粛が続き、実家の親を訪ねるのもままならない日々が続く。高齢者が自宅にこもると心身に悪影響が出がちだが、遠くからできることがある。AERA 2020年6月1日号では、老人ホームサイト「LIFULL介護」の小菅秀樹編集長に、遠方の親のために子世代ができることを聞いた。
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筆者は老人ホーム検索サイトの編集長をしているが、老人ホームや介護施設の資料請求や電話での問い合わせは、お正月、お盆などの長期休暇後に決まって急増する。これは、離れて暮らす子世代が長期休暇で実家に帰ったタイミングで親の「異変」に気付くためだ。
しかし今年のゴールデンウィークはコロナ禍で遠方の実家に帰れなかった人も多く、今後もいつ親に会えるかわからない状況にある。心配なのは、子世代が気付かないうちに親の心身の状態が低下していくことだ。
感染への恐れから家にこもりきりになっている高齢者が多く、昼間に日帰りで利用できる介護保険のデイサービス(通所介護)も多くが休業している。その状況が、認知症の進行や、筋力低下や精神的な不安からくる「フレイル」を引き起こす可能性がある。フレイルとは、健常から要介護へ移行する中間の段階をいう。
認知症進行とフレイルの両方に大きな影響を与えるのが「運動」「栄養」「社会接点」だ。
「自粛を過度に意識して買い物に行かず家にある粗食で済ませている」
「本来デイサービスで食べていた栄養バランスの良い昼食が食べられない」
高齢者がこのような生活になると、運動、栄養、社会接点の三つ全てが大きく揺らいでいる可能性がある。何もしなければ心身の状態が徐々に低下し、要介護状態に進行しかねない。そのような状況を防ぐために、離れて暮らす親に子世代ができる五つのことをご紹介したい。
まずは「(1)定時に電話連絡をする」ことだ。大切なのは、親の今の状況を知っておくこと。外出や人との交流が減っている今、孤独や寂しさを感じている可能性もある。可能なら毎日、少なくとも毎週、同じ曜日・時間に電話をし、刺激を促すことが重要だ。決まった時間に連絡を取ることで、時間感覚が乱れるのを防げる。