コロナ禍のさ中に政府が検討を始め、議論百出の9月入学。民主党政権で文科相だった田中真紀子・元衆院議員(76)は賛成派だが、安倍内閣には無理と退陣を求める。東京都内でインタビューした。
――9月入学の議論は小学校から大学まで多様です。どんなご意見ですか。
大学だけ9月入学にすべきです。高校卒業から5カ月間ほどをモラトリアム(猶予期間)にして、若者に人生を考える時間を与える。大学入試が春のままなら、入学までにボランティアや国際交流などに取り組む。この考えは「ギャップターム」として東京大学のワーキンググルーブが2012年に提言しています。
でも大学入試を遅らせ、卒業する高校3年生が進路をじっくり考えるのもいい。コロナで学校が休みになって親と話す機会が増えた生徒もいるでしょう。9月入学なら高校卒業後に親子で進路の話がしっかりできるかもしれません。
――どうしてそう思うようになったのですか。
議員になる以前の子育て経験がまずあります。40年近く前ですが、小学生の長男に夜のお弁当を持たせて塾に行かせていたら、父(田中角栄元首相)に「なんで一家団欒の夕食に子供がいないんだ」と怒られた。私も不健全とは思いながらも、周りの奥様たちと一緒にしていました。
常に受験勉強に追われベルトコンベアー式に大学に行くのは今も変わりません。多くの学生はバイト、就活に追われ、学問の深さに触れず大学卒業のレッテルだけ得て社会に出る。機会均等や識字率の高さは日本の教育の誇るべき点なのに、大学がじっくり自分の適性や将来を考え学問に取り組む場になっていません。
教育は私のライフワークで、主婦の頃に公教育の充実をと朝日新聞に投稿しました。1993年に衆院議員になって小中学校の教員の質を高める教員免許特例法を議員立法で作り、大学教育の充実をと9月入学もずっと考えていました。
――東大が「ギャップターム」を打ち出した12年に文科相になった時は、9月入学の検討はどこまでされましたか。