当時の浜田純一総長に賛意を伝えると喜ばれ、就任時の記者会見では「人づくりが重要」と強調して必ずと思ったけど、できませんでした。最初の役所のレクチャーでそれ以前の課題が山積とわかり、最たるものが大学乱立の中での新設許認可の問題でした。
3校も経営に疑問があったのに、役所は認可のハンコを押せ押せと。少子化でやたら大学をつくって倒産したら社会へ出る学生はどうなるのと聞いても決まったことだからと。自民党政権からの惰性にあぜんとしました。
――混乱のうちに12年末の衆院選で民主党政権が倒れ、ご自身も落選で政界を離れました。それから7年以上経ち、コロナ禍のいま改めて9月入学をと言い出された。
拙速に実現を求めてはいません。一番大事なのは子供たちで、教育現場を混乱させてはいけない。ただ、コロナの影響で世界に新たな秩序が動き出す今こそ、教育制度を見直すという柔軟な発想で、前広に大学9月入学の議論をする好機です。そうした話を大学関係者の方々と今しています。
――大学関係者には9月入学に否定的な声もあります。5月の自民党のヒアリングでは田中さんの母校の早稲田大学を含め、「教育システムの破壊になりかねない」といった慎重論が相次ぎました。
破壊じゃないんです。硬直しているからこそ変えるべきなんですよ。特に私学は経営にこだわって現状維持を望むでしょう。世界から信頼される優秀な日本人を育てる大学教育に携わる方々は、議論に柔軟に臨んでほしいものです。
9月入学には、欧米の大学とそろう国際化のメリットがあります。さらに私は、一人一人の多様性を尊重し、誰にも一度しかない人生を充実したものにする教育につながると考えています。
「また田中真紀子が引っかき回して」と言われるかもしれないがそうじゃない。文科相の時の大学許認可問題と同じで、議論をと提言しているんです!
――その9月入学の検討を安倍内閣が始めました。首相の持論でもあります。
へえー。でも今頃急に言い出すのは、お得意の思いつきじゃないんですか。7年以上にもなる内閣で実績がなく、コロナ対応でもさっぱりだからでしょう。