いつもなら合同説明会や企業セミナーは、どこも人いきれになる。だが、今年は違った。2021年卒生の就活は、新型コロナウイルスの感染拡大で大きく様変わりした。6月1日は、政府が決めた「就活ルール」の選考解禁日。AERA 2020年6月8日号は、「コロナ禍の就活を特集」。就活「リモート元年」の行方は。
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就職活動中の学生たちに衝撃が走った。
5月上旬、航空業界国内最大手のANAホールディングスが、2021年度入社に向けた採用活動を一時中断すると発表した。
毎年各社の就職人気企業ランキングの上位に位置する同社。グループ37社合計で約3200人募集していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要の急減によって「今後の事業計画を策定することが困難な状況」だとして、採用活動を中断したという。同社は新型コロナの影響で20年1~3月期に純損益が587億円の赤字に転落していた。
航空業界ではほかにスカイマーク、AIRDO(エア・ドゥ)、ソラシドエアも採用活動の中断を決定しており、5月27日にはついにJALグループも採用活動の中断を発表。新型コロナの感染拡大が、就職活動にも影を落とし始めている。
■就職内定率は「鈍化」
実は21年卒の就職内定率(内々定含む)は、春先まで好調に推移していた。それが新型コロナの感染拡大で全国的に外出自粛が呼び掛けられた4月以降、鈍化している。
リクルートキャリアが発表した「就職プロセス調査」の就職内定率は、3月1日時点で15.8%(前年同期比+7.1ポイント)、4月1日時点では31.3%(同+9.8ポイント)と前年を大幅に上回るペースだった。それが5月1日時点は45.7%と前年同時期を5.7ポイント下回った。就職活動が現行日程になった17年卒以降、前年同期を下回ったのは初めてで、ほかの就職情報会社の調査でも同様の調査結果が出ている。
21年卒の就活は、もともとは例年と比べて早期化が指摘されていた。