「内定率の鈍化は、緊急事態宣言が出されて学生との接触機会が限定され、企業が採用活動を延期していることや、オンライン選考の導入に時間がかかってスケジュールを遅らせていることが影響しています。オンライン選考を導入した企業でも一度も会わずに内定出しをすることに踏み切れていないところもあります。緊急事態宣言も解除された今後、採用活動は活発化していくと予想しています」(高橋さん)

 マイナビが4月下旬に実施した大学生活動実態調査では、学生が現在注力している就職活動として最も多かったのは「面接」で、5割近くの学生が行っていたが、注目したいのは、「エントリーシート提出」が前年を10ポイント近く上回って約25%いること。コロナの影響でスケジュールが例年より遅れていることが見てとれる。

■学生が集められない

 スケジュールが遅れている原因はほかにもある。ディスコキャリタスリサーチの武井房子上席研究員はこう指摘する。

「コロナの影響で合同企業説明会が中止になり、自社に興味を持つ学生を集める『母集団形成』ができていない企業も増えています。オンライン説明会を開催しても学生たちは名前を知っている企業に流れがちで、企業を顧客とするBtoBの企業や中小企業などは学生を集めるのに苦労し、思うように選考を進められないでいるのです」

 オンライン就活で学生の大企業志向がより強まっているのだ。(編集部・深澤友紀)

AERA 2020年6月8日号より抜粋

■アエラでは、人気企業と大学に緊急アンケートを実施。「コロナ禍の就活」の現状について特集しました。発売中の「AERA 2020年6月8日号」では、アンケートの回答をもとに学生・大学・企業の就活最前線に迫ります。

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