西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、プロ野球が中断した場合を想定し、選手の年俸の取り決めを行っておくべきだと指摘する。
【写真】緊急事態宣言が解除されてから初めての紅白戦を行うオリックス
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プロ野球が6月19日に開幕することを発表した。2月26日にオープン戦の残り試合を無観客で実施すると決定したところから考えると、3カ月。新型コロナウイルスの感染状況を見極めた上で、何度も開幕設定を議論し、セ・リーグ、パ・リーグの日程担当者も無数のパターンを想定して準備をされたと思う。
まず、その尽力に敬意を表するとともに、ようやくスタートラインについた、ここからだという思いが強くなっている。新型コロナウイルスの第2波、第3波が来ることも予想される中、シーズン中に感染者が出た場合も含めて、どうリーグを運営していくか。目指しているシーズン120試合を終え、日本シリーズまでできることを祈るしかない。
海の向こうの大リーグでは、強烈な年俸削減案が選手会に提示されたという。米メディアの報道では、まず、通常162試合制のところ、実施された試合数に応じた年俸がベースになるという。つまり、162試合の半分の81試合が行われた場合は「年俸の50%」となる。それだけではない。半減した年俸を基準にして、さらに減額される。球界最高年俸のマイク・トラウト外野手(エンゼルス)は、今季年俸約3800万ドル(約40億7千万円)から577万ドル(約6億2千万円)と算出するメディアもある。
これはレギュラーシーズンに限ったもので、プレーオフに出場し、ワールドシリーズまでたどり着けば変わるが、40億円の選手が6億円しかもらえないというのは驚きだ。大リーグの1試合に対して、放映権などを含めた収入が、いかに莫大(ばくだい)なものかを示す。もちろん、大リーグの選手会がこれを受け入れることはないだろうし、削減率はもっと下がるだろう。「どれだけ削減されても6億円ならいいじゃないか……」と読者の皆さんは考えますか?