小脳を鍛えるにはどうすればいいか。五島医師の著書『自宅で治せる めまいリハビリ』(金原出版)や、五島医師がリハビリを教わったという新井基洋医師の著書『めまいは寝てては治らない』(中外医学社)などが、参考になる。
「めまいリハビリ」はまず、両手を肩の高さぐらいにまっすぐ前に伸ばし、両手の親指を立てる。顔を動かさずに、目だけで左右の手の親指を交互に見てみよう。これを10回で1セットとして実践する。
次に、右手を肩の高さで前にまっすぐ伸ばし、親指を立てる。左手はあごを押さえて頭が動かないようにする。伸ばした手を左右にそれぞれ30度くらい動かし、立てた親指を目で追いかける。これも10回で1セットとする。
こうした動作を合計3セット、朝・晩か朝・昼・晩かでやってみる。
こうした一連の小脳トレーニングは、若いうちからしたほうがいいと五島医師は指摘する。例えば、お酒を飲むと千鳥足になることがある。大量の飲酒によって小脳が萎縮して機能が低下するためで、必ずしも高齢だとは限らないからだ。
「若い方は1週間くらいで効果が出てくることもあります。高齢の方は1カ月くらいかかることもあります。やめると元に戻ってしまうこともあり、続けていただく必要があります」
とはいえ、小脳トレーニングが国内の理学療法士の教育プログラムに採り入れられたのは最近のこと。普及はこれからだが、衰えた筋肉を鍛えようと無理にスクワットをするよりも、小脳トレーニングならば手軽に始められそうだ。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2020年6月19日号