木村花さん=「テラスハウス」ホームページから(C)朝日新聞
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記者会見する伊藤詩織さん(C)朝日新聞社
記者会見する伊藤詩織さん(C)朝日新聞社

 プロレスラーの木村花さんが5月に亡くなったことをきかっけに、過激化するSNSでの誹謗(ひぼう)中傷に対して、問題提起をしようという動きが広がっている。

 さらに6月8日には、自らの性被害を訴えているジャーナリストの伊藤詩織さんが、事実と異なる書き込みやイラスト投稿で名誉を傷つけられたとして、漫画家ら3人に計770万円の損害賠償と投稿の削除などを求めて東京地裁に提訴した。漫画家は「風刺画はフィクションで実際の人物や団体と関係ない」などとしているが、伊藤さん側は、描かれた女性は明らかに自身と分かるとしている。

 ネットやSNS上には誹謗中傷の書き込みがあふれ、ここ数カ月で一層増加した印象さえ受ける。

 事実、ネットの誹謗中傷を研究する国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授は、こう話す。

「デジタル・クライシス総合研究所が調査したデータによると、コロナ禍で外出自粛が開始された4月以降、ネットでの炎上案件は、前年同期比で3・4倍に増えています」

 ネットで「不謹慎」というキーワードの使用頻度が急増したのは、今回のコロナ禍を含めて計3回ある。

 2011年の東日本大震災と16年の地震のときだ。

「人は、大きな不安感を抱く事件が起こると、『敵』を設定する。その敵を攻撃することで、自分のなかのうつうつとした不安を解消するのです」

 炎上や誹謗中傷が起こる舞台は、圧倒的なユーザー数を誇るツイッターがほとんどだ。人気の理由は140文字でツイートできる手軽さだが、「誤解を生みやすい文字数でもある」(山口氏)という。

 さらに、ネット特有の可視性が人々の感情を増幅させるのだという。

「対象者が攻撃されて炎上する様子を、ユーザーはリアルタイムでのぞくことができる、いわば『公開リンチ』ですよね。すると、そこまで強い反発を覚えていなかった人までもが、『自分もたたいて大丈夫な相手だ』と錯覚し、攻撃に便乗してしまうのです」

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「炎上は社会を良くすること」と考える人たち