食養生も大事だ。
「冷たい食べものや飲みものはできるだけ避け、温かいもの、あるいは常温のものを取るようにしましょう。食材を選ぶときは産地にも気を付けてください」
加藤医師によると、パパイアやマンゴーなど南国でとれた果物や野菜は、体から熱を奪う作用があるとされているので、なるべく控えたほうがいい。反対に寒い地域でとれたものは、体を温める作用がある。ニンジンやタマネギ、ショウガ、ジャガイモなどは体を温める食材なのでお薦めだ。
「緑茶やコーヒーは温かくして飲んでも体を冷やしてしまうので、飲むとしたら番茶やほうじ茶、紅茶が望ましいです」
養生だけでは改善しきれない諸症状に対しては、漢方薬が有用とのこと。その人の体質や訴える不調によって必要な漢方処方が変わってくるが、腎虚では不足した腎の力を補う八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などを用いることが多いそうだ。
「養生と漢方薬を上手に使って腎虚に対応できれば、数年前の体の状態に若返らせることも不可能ではありません」
(本誌・山内リカ)
※週刊朝日 2020年6月26日号