■経営改革の実行を
だが持続的に賃上げを実行していくには習い性となったリストラ頼みの経営から抜け出さねばならない。既存市場を劇的に変える「破壊的イノベーション」を起こしてほしいところだが、せめて新しい価値を顧客に提供し、価格を引き上げても受け入れてもらえるようなモノやサービスを提供してほしい。さもなければ持続的な賃上げはできないだろう。
岸田首相が「インフレ率を超える賃上げを」と拳を上げ、経団連が「賃上げは社会的責務」と背中を押す。
みんなで渡れば怖くないと多くの会社が賃上げに向かいそうな雲行きである。
賃上げと同時に、イノベーションを起こす経営改革を実行できたかどうかの優勝劣敗が数年後に待ち受ける。経営改革が進むことを願うばかりだ。(経済ジャーナリスト・安井孝之)
※AERA 2023年2月13日号より抜粋