もっと軽傷のケースはどうか。たとえば、東京都の調査の事例であった「肋骨にヒビが入った」という場合は、どのくらいの賠償額になるのだろうか。齊藤弁護士は「個別のケースによって金額には大きな幅がある」としつつ、次のように話す。
「肋骨を動かさないようにテーピングをして、全治3カ月程度かかるとします。その間、会社には出勤できて休業損害は生じないと仮定すれば、賠償額は100万円前後になるのではないでしょうか。休業損害が生じた場合は、より上乗せされます。傘そのものは日用品なので危機意識が低くなりがちですが、たとえ故意ではなくても、それが人を傷つける道具となりかねないという意識は持っておくべきだと思います」
傘の持ち方は法律で定められているわけでもなく、マナーの問題にすぎない。横持ちをしている人も悪気はないのだろう。だが、自分が考えている以上に、その行為が人に危害を与える可能性があることは認識しておくべきではないだろうか。
(AERAdot.編集部・作田裕史、飯塚大和)