感染の再拡大が問題視されている新型コロナウイルス。生活習慣病の薬の中には免疫力を低下させ、感染や重症化のリスクがあるものも。生活習慣病の治療薬の危険性は知られているが、呼吸器系の病気、気管支喘息(ぜんそく)の薬の中にもやはり免疫を下げる薬があるので、使用には注意が必要だ。
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NPO法人「医薬ビジランスセンター(薬のチェック)」(大阪市)の理事長で内科医の浜六郎医師によれば、吸入ステロイド剤のフルチカゾンは全身に吸収され、長時間作用するので免疫を抑制するという。
「有害反応として感染症の悪化が最も心配です。副腎の働きが抑えられ、ショックやけいれんを起こす恐れがあります。ステロイド剤で気管支の腫れを抑えるのなら、フルチカゾンよりもベクロメタゾンに変えることを勧めます。全身の免疫を抑制する働きが少ないから、コロナにもかかりにくい」
気管支を拡張するβ2受容体作動剤は、免疫細胞の働きを抑制するほうにも作用する。そのため浜医師は、呼吸困難の発作があったときにだけ使い、発作予防のための過剰な使用は避けるべきだという。
「喘息の原因がアレルギーやストレスなのか、化学物質やたばこなのかを探るのが大事です。原因を取り除いて、徐々にステロイド剤や気管支拡張剤を減らしていくことが基本です」
コロナが重症化する原因は、体の防御反応が暴走する「サイトカインストーム」が指摘されている。ウイルスが細胞に侵入すると、免疫細胞から分泌される化学物質のサイトカインが、ウイルスに感染した細胞を攻撃する。発熱や頭痛が起きるのもサイトカインがウイルスと闘っている証拠なのだ。
ところが、何らかの理由でサイトカインが過剰に分泌され、サイトカインストームの状態になると正常な細胞までダメージを受ける。コロナの症状が急激に悪化するのはそのためだ。
浜医師は、コロナをはじめ感染症の悪化には、非ステロイド性抗炎症剤やステロイド剤の使用が強く関与していると話す。
「解熱剤やステロイド剤で熱を下げると、体は楽になりますが、ウイルスは攻撃されなくなるからどんどん増殖します。増殖したウイルスをやっつけるために体はサイトカインを出し、ついには過剰に分泌され、サイトカインストームとなります。血管の内壁や脳の神経細胞、腎臓や膵臓(すいぞう)などの細胞まで傷つけられます」
血栓ができて重症化する例が多数報告されているが、サイトカインストームが原因の一つと考えられている。
薬剤師で『その「1錠」が脳をダメにする』などの著書がある宇多川久美子氏も解熱剤は安易に使ってはならないという。
「我慢できるのであれば、薬を飲まないことは正解だと思います。免疫力アップには睡眠と休息が一番。けれども、熱が40度を超えて頭痛や関節痛で夜も眠れないという場合は、我慢せずに薬を飲んでいいです」
(本誌・亀井洋志、秦正理)
※週刊朝日 2020年7月24日号