後者は、「これは問題なの。間違いなく問題なの」という断定と独断を感じるのです。そこには、会話はありません。
「私に世話になったのにそういうふうに返すのか」というのも、親が子供に絶対に言ってはいけない言葉だと思います。関係が終わる最後の最後に、捨て台詞として言うのなら分かりますが、「あなたとコミュニケイトしたい」と思っている親が言ってはいけない言葉です。
娘さんの夫に連絡するというのも、してはいけなかったと僕は思います。山崎さんと娘さんの問題なのに、そこに娘婿を巻き込んでしまったのです。
今後、娘さんに連絡を取ろうとしても、娘婿とは二度と連絡はしない方がいいでしょう。そうしないと、娘さんとは完全に関係が終わってしまうと思います。
さて、山崎さん。すみません。厳しく哀しいことばかり書いていますが、短い山崎さんの相談文章から想像できるのは、あなたと娘さんの関係は完全にこじれてしまった、ということです。
これ以上、娘さんに手紙を書いても、LINEの文章を送っても、娘さんが反応する可能性はものすごく少ないと思います。逆に、山崎さんが娘さんに連絡を取ろうとすればするほど、娘さんは頑なになるだろうと思います。完全に逆効果です。
娘が母親になり、孫ができた。自分が手伝えること、アドバイスできること、助けられることがいろいろとあるはずだ、それが私の生きがいになると山崎さんは考えられたのだと思います。
その気持ちはよく分かりますが、娘さんはそれを必要ないと思ったのです。娘さんがそう思うようになったのは、山崎さんと娘さんの長い時間の結果でしょう。
それを、今から修復するのはかなり難しいと思います。
ですから、僕のアドバイスは、しばらく娘さんのことを忘れて、自分自身の楽しみを探しませんか?ということです。
山崎さんは、娘さんに連絡することを「寂しさもあり」と書かれています。娘さんによって、自分の「寂しさ」を紛らわせようとしたのですね。その気持ちはよく分かりますが、娘さんではなく、他の何かによって、「寂しさ」を紛らわせるのがいいと思います。つまり、積極的に何か楽しみを見つけるのです。
鴻上尚史
学校のクラスの治安が悪く、精神に不調を抱えてしまったという14歳女性に、鴻上尚史が語った「苦しみへの踏ん張り方」の真意とは