なかなか期待に応えられない日々が続く巨人・吉川尚輝 (c)朝日新聞社
なかなか期待に応えられない日々が続く巨人・吉川尚輝 (c)朝日新聞社

 巨人・吉川尚輝から目が離せない。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 チームとって長年の懸念である『セカンドが固定できない』問題。吉川は最も期待されながら、レギュラーに定着できずにいる。

 巨人の戦いの根底に関わる事態は、そのまま球界を左右することにもなりかねない。

 飛び抜けたスピードを誇り、走攻守すべてが揃う理想的な選手。巨人のセ・リーグ連覇、日本一奪回に必要なのは周知の事実だ。

「野球センスの塊のような男。松井稼頭央さんを思い出させる」

 球団関係者は、かつて西武やメジャーで活躍した現西武2軍監督の名前を挙げる。

「どこのポジションもできる順応性があり野球脳も高い。また、あれだけのスピード持つ選手は中々いない。ただ速いのではなく加速がすごい。動き出しからトップスピードにあっという間に入れる。守備範囲が広くなるし、1つ先の塁が狙いやすくなる」

 岐阜の強豪・中京高で1年からレギュラーとなり、高校卒業後は広島・菊池涼介を輩出した中京学院大へ進学。大学日本代表に選ばれるほどの成長を遂げた。

「高校時代は抜群の身体能力が目立った。試行錯誤して選んだ中京学院大も合っていた。基本から徹底することで、才能がより大きく開花した。1つ1つのプレーについてもしっかり考えるようになった。大学の先輩には菊池もいたので、守備に関しても高い意識を持てた。大学での4年間が今の吉川を作り上げたと言える」

 アマチュア時代を知るスポーツライターは、吉川本人の努力を称える。

 6月19日の開幕から2試合は『1番セカンド』を任された。開幕・阪神戦では7回に逆転2ランを放つなど、順調なスタートを切ったように見えた。

「本来は去年、レギュラーをとりたかった」

 巨人担当記者は、昨年のスタートダッシュを思い出す。

 開幕3連戦『1番セカンド』で先発出場。3戦トータル12打数5安打2打点の大活躍だった。

「苦手な敵地マツダスタジアムで大活躍。チームは勝ち越してムードが高まった。その後も調子が良く、レギュラー確定だと思った矢先の故障再発。本人はもちろんだが、周囲も大きな失望感に包まれた」

 11試合経過時点までで打率.390、出塁率.432と好調を維持。しかし持病の腰痛が悪化し、12試合目以降の残りは、懸命のリハビリがあったものの、シーズン中の1軍復帰はならなかった。

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今年もこれまで“苦しいシーズン”に…