「50代は第二の人生を始める前の助走であり大切な準備期間」
【画像】50代も『黄昏流星群』のように恋愛も含め、楽しい時間を過ごしたい
そう話すのは、漫画家の弘兼憲史さん(72)。会社員の主人公が出世していく代表作の『課長 島耕作』(講談社)シリーズや、中高年の恋愛を描いた『黄昏流星群』(小学館)が有名だが、『弘兼流60歳からの手ぶら人生』(海竜社)など、中高年の生き方に関する著書も多い。これまでに培ってきた広範囲な人脈や取材から、生き方や人生の楽しみ方について紹介している。
人生は、好きなこと、楽しいと思うことをやるのが一番いい、という考えが基本だが、現実はそれをできる人は多くない、という視点から、こう指摘する。
「普通、会社員にとっては60歳が一つの区切りだし、定年後も悠々自適に暮らせるという人はごくわずかだと思う。50代になったら、まず自分を客観視することが大切。子どもは何歳か、家の貯蓄はどれくらいあるのか。最終的には生活費との兼ね合いです。好きなことだけをやれるという人はそれが一番いいけど、生活のために働く、という人がほとんどでは。そうすると、定年後を考えた場合、次の仕事は何か、が一番大きなテーマになるんです」
人生100年時代。貯金で死ぬまで悠々自適な暮らし、という人はごく一握りだろう。さあ定年というときに、お金も仕事もない、という状況は避けたいところだ。では、その前に何を考えておくべきなのか。
「遅くとも55歳ぐらいには定年後の人生設計をして、資格取得に向けた勉強を始めるなど、次の仕事につなげるための準備と努力をしてください。自分らしくいられて、やりがいのある次の仕事をどうやって探すか、だと思います」
しかし、今はコロナの影響で、思うように動けない状況だ。その点について弘兼さんは、こう語る。
「さまざまな仕事がリモートでできるというのがコロナでわかった。新しい仕事がコロナ時代に生まれると思う。東京にいなくてもいいという人は、地方でも仕事が増えると思う。自宅マンションには小さい子どもがいてリモートが厳しいという人もいる。そうすると貸しスペースがあるといい。地方でも、アパートを改修して、安く貸し出しても仕事になる。徳島県の田舎の地域にも、いろいろな企業のオフィスが来ていて、周囲にはおしゃれなカフェとかもできている。そういう、地方に企業が分散して街ができる」