ウイルスのRNAが複製されるのを阻害する働きを持つのは、日本でも特例承認されたレムデシビル(商品名ベクルリー)や、アビガンだ。

 また、ぜんそくの治療などで使われるステロイド吸入薬シクレソニド(商品名オルベスコ)も、国立感染症研究所の細胞実験でウイルスの増殖を抑える効果があるとわかり、国内外で臨床研究が行われている。

 日本で治療薬に加わったデキサメタゾン(商品名デカドロンなど)は、重症化した患者の炎症を抑える効果があるとされる。

 中外製薬が開発したリウマチ治療薬のトシリズマブ(商品名アクテムラ)も同様に炎症を抑える薬だ。国内外で臨床研究や治験が行われているが、中外製薬と提携を結ぶスイス・ロシュ社は29日、欧米とカナダで実施した重症患者450人を対象にした治験では、死亡率などに有意差がなかったと発表した。退院期間が短くなる傾向などがみられたといい、国内外で進行中の治験は継続するという。(ライター・大岩ゆり)

AERA 2020年8月10日-17日合併号より抜粋