一般的に、TUR-BT+膀胱内注入療法の治療6週間後に、膀胱鏡や尿細胞診で再発の有無を確認する。その後は3カ月に1回、3年目からは6カ月に1回、経過観察する。
■2回以上再発では膀胱全摘除術も
再発しやすいのも膀胱がんの特徴だ。TUR-BT後の再発では、再発がんが筋層に浸潤していなければ、初回と同様にTUR-BT(+膀胱内注入療法)をおこなう。膀胱内の粘膜はTUR-BTで削り取ったあと、自然に再生するので、同じ治療を受けることができる。
筋層浸潤に進展した場合は、膀胱全摘除術が考慮される。
BCG療法を2回やっても再発するケースは、BCG不応性(効果が低い)ということになる。BCG不応性では、BCG療法を続けるのではなく、筋層浸潤が生じる前に膀胱全摘を考慮する必要がある。年齢、ライフスタイル、全身状態などを総合的に考えて、次の治療法を決定する。
T2以上の膀胱がんで第一選択となる膀胱全摘除術をできるかぎり回避するために、最近、いくつかの病院で試みられているのが、TUR-BT・抗がん剤治療・放射線治療の三つを併用する「トリモダリティ」での膀胱温存療法だ。がんが限局しているなど、適応には条件があるが、今後、患者のQOL(生活の質)を保つ治療法として確立されるのではと注目されている。
なお、膀胱がんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。同ムックの手術数ランキングの一部は特設サイトで無料公開。
手術数でわかるいい病院
https://dot.asahi.com/goodhospital/
(文・別所文)
≪取材協力≫
東京医科歯科大学病院 副病院長・腎泌尿器外科教授 藤井靖久医師
筑波大学病院 副病院長・腎泌尿器外科教授 西山博之医師
※週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』より