◆不妊治療を続け、貯金使い果たす◆
近年はAさんのように生殖医療を目的にバンコクを訪れる日本人が増えているそうだ。
それに伴い、ここ数年で日本人に代理母や病院をあっせんする業者も増えたという。
「生殖医療は民間主導でビジネスとして発達してきた分野なんです。そのため魅力的な宣伝文句をうたう業者もいますが、『タイに行けばなんとかなる』ということでは決してありません。規制の緩いタイで治療をするという一つの選択肢にすぎないんです。そこには必ずリスクがあることを忘れてはいけません」(横須賀さん)
タイで約2年間、不妊治療をしたが、成功しなかったという人にも話が聞けた。
タイ在住のBさん(37)だ。
「29歳のときに結婚をしたのですが子どもができす、日本で人工授精をしてもうまくいきませんでした。そこで体外受精を希望したのですが、『人工授精を5回以上した人でないとダメ』と言われました」
そんな折、夫がバンコクへ転勤になった。Bさんも働いていたが、タイの不妊治療が進んでいることを知り、
「ちょうどいいや」
と、思い切って仕事を辞め、タイで不妊治療に専念することにしたという。
「バンコクにある大手の病院で治療し、術後にリゾート地のプーケットで療養するツアーがついたプランなど、いろいろな施設で体外受精を試しましたが、ダメでした。病院の検査で私の卵子はとても弱いということが分かったんです」