体調不良が噂される安倍首相に対し、盟友らが「不休」とかばい休養を勧める だが実際には、かなりの時間を自宅で過ごす日々。体調も政権の命運も危険水域だ。AERA 2020年8月31日号で掲載された記事から。
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騒動のきっかけは、安倍晋三首相の「盟友」のこんな一言だった。
「ちょっと休んでもらいたい。(安倍首相は)責任感が強く、自分が休むことは罪だとの意識まで持っている」
8月16日、フジテレビの番組に出演した自民党の甘利明税調会長はこう発言し、かねて噂されていた安倍首相の体調問題に自ら言及した。テレビ局関係者の間では、安倍首相の健康に関する質問はタブーというのが不文律だったという。永田町に激震が走ったのは、この数時間後のことだった。
「明日、安倍首相が慶応義塾大学病院に検査に行き、そのまま入院する」
そんな情報が流れたこの日はお盆休みの最終日。総理官邸は出入りする官僚の姿もなくひっそりとしていたという。ベテランの政治記者はこの一報を聞いた時、ある「政変」が頭をよぎったと話す。それは13年前の夏、8月に体調を崩した安倍首相が9月に退陣を表明、その後総選挙で自民党が大敗し民主党政権が誕生した出来事だ。
「これまでも体調不安説はあったので、いよいよ来たなと思いました。しかし一方で、本当に容体が悪く、緊急を要するのであれば極秘入院するはずで、首相サイドがわざわざマスコミにリークするはずがない。『これは何か思惑があるな』というのが第一印象でした」
翌17日朝、東京・信濃町にある慶応大学病院前にはメディアが押しかけた。同病院には安倍首相の主治医がいて、入院を要する緊急の事態であれば、この病院だというのは以前から認識されていた。
30台近いカメラが居並ぶ中、安倍首相を乗せた車は3台の車列をなして予定されていた10時28分に到着。マスク姿で表情こそ確認できなかったが、安倍首相は自分の足で病院に入っていった。