ただし、気をつけなければならないのは、免疫システムは複雑なため単一の食品ばかり食べ続けていればいいというものではない。発酵食品が感染症予防に効果があるとして、納豆やキムチなどに買い占めの動きも出た。藤田医師によれば、納豆の適量は1日1パックなので、大量購入することは無意味だ。それどころか有害にもなりかねない。腸に良いものばかり度を越えて食べると「SIBO(シーボ、小腸内細菌異常増殖)」という症状を起こすことがある。

「大腸の中の腸内細菌が異常に増えすぎて、小腸に上がってきてしまうのです。小腸は本来、ガスの発生する場所ではないため、腹痛やおなかの張り、下痢や便秘など腸の不調が起きる。ほどよく食べるのが一番です」

 免疫力の強化には、免疫細胞や抗体を作るたんぱく質の摂取も不可欠だ。藤田医師は言う。

「肉は悪玉菌のエサになりますが、肉を食べてたんぱく質をしっかり取ることも大事です。肉のコレステロールは、若々しく生きるための性ホルモンの材料になります。年を取ったら野菜中心の粗食を勧める医者もいますが、それは真っ赤なウソです。性ホルモンの分泌は加齢とともに徐々に減っていくので、50歳を過ぎたら肉も魚も十分に取ってください」

 石原医師も言う。

「肉類は強力に体を温める作用があり、免疫力向上につながる。消化吸収を助ける野菜と一緒にゆっくり食べるとよいでしょう」

 緊急事態宣言の発令以降、加工食品やインスタントラーメンなどの需要も増加した。だが、簡単便利な食べ物には、保存料など食品添加物が多く使われている。食品添加物は体にとって「異物」であり、藤田医師によれば、腸内細菌にも免疫細胞にも徐々にダメージを与えていく。毎日の料理に使う油も要注意だ。サラダ油やコーン油など植物油は免疫力を低下させるというから、留意しておこう。(本誌・亀井洋志、松岡瑛理)

週刊朝日  2020年9月4日号より

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