新型コロナウイルス「第2波」のまっただ中にいても、食生活を改善すれば怖くない。専門家によると、比較的短期間で免疫力を上げられ、中高年の人でも重症化を防ぎ、感染症に打ち勝てるようになるという。免疫力を上げる食べ物や下げる食べ物を紹介する。
私たちの体に備わった免疫はウイルスや細菌などの外敵を排除し、がん細胞の増殖を防ぐ。だが、老化や持病によって免疫力は低下していく。新型コロナ感染症でも、重症化し、死に至る人の多くは高齢者や糖尿病、高血圧など基礎疾患がある人たちだ。その半面、感染しても無症状か軽症で済む人が非常に多い。
新型コロナの特徴について、免疫学者の藤田紘一郎医師(東京医科歯科大学名誉教授)が解説する。
「風邪やインフルエンザと同様に、ヒトの免疫力で十分に対応できる病原体だということが言えます。このウイルスは、高齢であっても免疫力の強い人には手出しができないはずです。免疫力が低下する要因である偏った食生活や、不規則な生活習慣は変えられます。免疫力が上がれば、糖尿病などの生活習慣病の改善にもつながります」
免疫には、生まれつき持っている「自然免疫」と、病原体などに感染することによって後天的に得られる「獲得免疫」がある。自然免疫の仕組みは、「好中球」と「マクロファージ」が体内に入ったウイルスや細菌など異物を食べて分解し、「ナチュラルキラー(NK)細胞」がウイルスに感染した細胞やがん細胞を見つけてやっつける。
藤田医師によれば、獲得免疫の武器である「抗体」が作られるまでには、ウイルスが体内に侵入してから3~7日ほどかかる。それまでの間は、自然免疫だけで病原体と闘うしかない。自然免疫の力が強ければ、無症状あるいは軽症のうちに敵を退治することができる。
だからこそ、藤田医師は自然免疫を強化することが何より大切だという。
「免疫力の70%は腸と腸内細菌が担っています。まずは食生活を変え、腸内細菌の集合体である『腸内フローラ』を整えることから始めてください」
腸内細菌には、乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌、病気の原因になる有害物質を作り出す悪玉菌のほか、最も多数派を占めてどちらか優勢なほうに加勢する日和見菌がいる。善玉菌はどんなに増えても20%までが限界。従って、腸内フローラの最も良いバランスは「善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%」だ。
日和見菌には、脂肪や糖分を好む「フィルミクテス門」というグループと、高食物繊維で低脂肪の食べ物を好む「バクテロイデス門」というグループがある。前者は通称デブ菌で、悪玉菌に味方しやすい。後者はヤセ菌と呼ばれ、善玉菌に味方しやすい性質がある。免疫を高めるポイントとは、すなわち、ヤセ菌を増やして善玉菌の味方をさせることにある。