■テンポが速すぎてついていけないPerfumeの「はみがきじょうずかな」

 まずは、歯みがきと虫歯菌の絵本を買ってみましたが、ほとんど効果がありませんでした。たぶんイラストが可愛かったので、虫歯になってしまうという危機感を与えられなかったのだと思います。そこで、携帯からひどい虫歯になってしまった歯の写真を検索して見せたところ、だいぶ現実みを帯びたようで、それ以来、なかなか歯みがきをしようとしない時は「写真を見る?」と聞くと、急いで洗面所にいくようになりました。
 
 あとは、歌に合わせてみがいてみるのも楽しいかもしれないと考え、「おかあさんといっしょ」の「はみがきじょうずかな」を録画しました。私も子どものころに、この歌に合わせて歯みがきをした記憶があるくらい古くから定番の歌です。

 ただ、今は Perfume が歌っていて可愛い雰囲気にはなっているのですが、テンポがかなり速くて歌詞に動きを合わせようとしても、まったくついていけないという結果に終わりました。
 
 息子の心のど真ん中に響いたのは、携帯にある「ポケモンスマイル」というアプリでした。携帯の画面が鏡の代わりとなり、顔をうつすと自動的に感知して、頭にポケモンが乗ってきます。ポケモンと一緒に歯みがきをすると、終わった後に新しいポケモンや、歯みがき中の写真(いつの間にか撮ってくれています)がゲットできます。

「今日はなんのポケモンが取れるかな」 と、くじ引きをひくような中毒性があり、これのおかげで息子は毎日、歯みがきの時間を楽しみにするようになってきました。このまま毎日ポケモンをゲットしていけば、「歯みがきをしないと違和感がある」というところまで習慣化できるのではないか、という気がしています。
 
 しかし、息子の歯ブラシの使い方がまだ雑なため、画面が「歯みがきをしている」と認識せず、ポケモンがとれない日が出てくるという問題が生まれました。そこで、 たまに私が代わりにアプリで歯をみがいています。 横で息子も一緒に歯をみがくという決まりになってはいるのですが……ポケモンを頭にのせながら歯をみがき、 ピカチュウに「上手! 上手!」と声をかけられている自分に対して、ふと冷静になり「一体なにをやっているんだろう」と思ってしまう時があります。

 こういう子どものアプリを大人が一緒にやるときは、我に返らないことが重要なのでしょうね……。

杉山奈津子(すぎやま・なつこ)/ 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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