肝心なときに黙っているかと思えば、言を左右にし、面倒を回避する。その一方で巨額の税をむしばんでいるのが防衛省、とりわけ背広組=防衛官僚の実態なのです。かくして日本がだめになる、国益が損なわれていくわけです。

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 OBは自らの考えも加味し、以上のように防衛省の怠慢と失態を明かして早期の改善を迫った。

 さらに、「もっと性急な動きもある」と明かす。あまりの事態にしびれを切らした制服組が、機能していない防衛官僚に代わって米軍との協調を主導的に行い始めたというのである。

 もともと日米間で現場レベルでの情報交換、連絡調整などはうまくいってきた。合同演習の精度の高さがそれを示しているが、そういった共同歩調、信頼の醸成の成果が、11月に予定されるオバマ米大統領の来日直後の日米合同演習につながったというのである。

 この演習で米側は横須賀を母港とする航空母艦ジョージ・ワシントンやグアムに配備されたばかりの無人偵察機などを投入し、自衛隊とともに「尖閣奪還作戦」を展開するという。

「制服組は暴走とみられぬよう神経をすり減らし、慎重に事を運んでいるものの、こんなことが一日も早く解消されることを望んでいます。政府あるいは官邸からの問いかけが防衛官僚に向けてなされれば、すぐにも解決するのです。これこそが真の政治主導ではないかと思うのですが......」

 防衛OBはこう嘆息した。

 民主党政権の「政治主導」はいつ機能し始め、防衛官僚はいつ目を覚ますのか。中国は漁船の保護を名目に、尖閣周辺に監視船を常駐させ始めている。

(ジャーナリスト 時任兼作)


週刊朝日

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