最新の研究結果も、エクササイズも、本当に効かなければなんの意味もない。AERA 2020年9月21日号で、長年肩こりに苦しんできたAERA副編集長(45)が、体を張って試してみた。
* * *
肩こりの大きな原因は、皮下脂肪と筋肉の間にあるファシア(筋膜)。最新知見を身をもって体験するため、桐蔭横浜大学教授の成田崇矢さん(45)を訪ねた。
■「ふるふる」数分で劇的
「論より証拠。まずやってみましょう」
成田さんは筆者(45)を研究室のベッドに座らせた。筆者はアエラ副編集長。新聞記者になった20代前半から肩こりに悩み続け、マッサージに行っては「1時間ぐらいじゃとてもほぐしきれません」と匙を投げられてきた、筋金入りのバキバキ肩の持ち主だ。
「これから、筋肉と脂肪の間のすべりをなめらかにします。では肩の脂肪をつまみますね」
成田さんは筆者の左肩の皮膚を、両手で脂肪ごとぐいっとつかみ、そのままふるふると軽く揺すり始めた。時間はほんの十数秒。続いて、少し離れた場所の皮膚をつまみ、またふるふる、ふるふる。一般的な肩こりのマッサージとは全く違う。筋肉に力を加えず、皮膚と脂肪を揺すっているだけだ。
「どうですか?」
2分ほどして不意にそう聞かれ、肩を動かしてみる。
「え、ウソでしょ……?」
まるで30分以上もマッサージを受けたように、今「ふるふる」された左肩の上部が軽い。続けて、まだ突っ張った感じが残る肩甲骨のあたりも「ふるふる」してもらった。合わせてほんの数分。左肩が笑ってしまうほど軽くなり、逆に何もしていない右肩が泣きたいぐらい重く感じる。なんだなんだこれは。
「特別なことをしているわけではありません。筋肉そのものの状態が変わらなくても、筋肉と脂肪の間のすべりがよくなるだけで脳は『楽になった』と認知するんです」(成田さん)
確かに、左肩を触ってみると筋肉はパンパンに張ったまま。狐につままれたような気分の筆者に、成田さんはこう続けた。