「よねむらオリジナルクッキー缶」 
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和菓子・洋菓子 魅惑の20選【1/2】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
和菓子・洋菓子 魅惑の20選【1/2】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
和菓子・洋菓子 魅惑の20選【2/2】 (週刊朝日2020年9月25日号より)
和菓子・洋菓子 魅惑の20選【2/2】 (週刊朝日2020年9月25日号より)

 新型コロナウイルスの感染拡大のため、観光どころか、京都の出身者たちが帰省を我慢しているのが実情だろう。

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 京都出身のタレント・坂下千里子さん(44)も、「お正月に帰省して以来、帰っていないです」と語る。

 帰れなくても食べたいのが、郷土の味だ。坂下さんは都内で京都のおいしい食べ物を購入して食べているという。

「京都の食べ物は、割と東京のデパートで買えます。お漬物、おじゃこ、阿闍梨などが恋しくなるので、デパートに行くと必ず買いますし、催事などで京都のお店が出展していると、つい買ってしまいます」

 さらに取り寄せで購入するという方法もある。近年は、京都の老舗も通信販売に力を注ぐようになったので、雅な味を自宅で楽しめる。

「私の超個人的な意見ですが、京都の和菓子はやはり日本一だと思います。見た目の美しさはもちろんですが、上品な甘さであったり、職人さんの技であったり、風格があると思います。洋菓子も、丹波栗を使ったものや宇治抹茶を使ったものは、最高においしいです」

 そう語る坂下さんは、先月中旬に小社から刊行された書籍『京都とっておきのお取り寄せカタログ』で、抹茶を使った菓子を二つ推薦している。

 ひとつは祇園辻利の「特選抹茶カステラ」で、「娘と娘のお友達が抹茶好きで、彼女たちへのお土産に購入したのがきっかけです。今では私のほうが気に入ってしまって。抹茶の味が濃くて、抹茶好きならひと口食べるだけで幸せを感じてもらえるはず」。

 もうひとつは京都北山マールブランシュの「お濃茶ラングドシャ茶の菓」だ。「工房直売店が父の会社から近く、あるとき母が買っておいてくれたんです。ひと口食べて『こんなにおいしい抹茶のクッキー初めて!』と感動したのを今でも覚えているほど」。

 抹茶を使ったおいしい菓子が多いのは、いかにも京都らしいといえるだろう。

 他にも京都の菓子には特徴がある。

「上生菓子など目で味わう文化もありますが、時代に逆行して、フォトジェニックではないお菓子も多いんです」と笑うのは、京都在住のライターで、『京都とっておきのお取り寄せカタログ』の編集も担当した小西尋子さんだ。

「見た目は地味なんですが、食べた後にジワジワとそのおいしさが感じられてくる。味が記憶に残るような菓子がたくさんあります」

 小西さんの“イチオシ”のお菓子は、茶菓円山の「黒豆おこし」。黒豆や荏胡麻などを煎り、黒糖で固めたもの。そう聞くと地味に感じるが、黒糖のほのかな苦みと雑穀の旨みが複雑に絡み合う独特の味に魅了されるという。

「円山公園の中にある茶菓円山は、店内で飲食はできても、菓子を購入して持ち帰ることはできません。店に行っても注文を受け付けてくれるだけで、後ほど発送されるんですね。地元の人でも地方の人と同じように取り寄せるしかないお菓子なんです」(小西さん)

 まさに取り寄せに特化した逸品なのである。(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2020年9月25日号より抜粋