

社会保険労務士の小泉正典さんが「今後いかにして、自分や家族を守っていけばいいのか」、主に社会保障の面から知っておくべき重要なお金の話をわかりやすくお伝えする連載の第10回。
今回も子育て世代にまだまだ用意された、知っておかなければいけないさまざまな社会保障です。
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前回までの連載で、妊娠中から出産前後にかかわる社会保障について説明してきました。日本には子どもが成長しても支給される社会保障や、収入が少ない世帯への支援が用意されています。今回はこれらについて基本的な内容と注意点を解説しましょう。
■みんながもらえる「児童手当」、総額で1人当たり約200万円
15歳までの子どもを育てるほとんどすべての世帯に関係する社会保障が「児童手当」です。この制度自体はかなり以前からありましたのでご存じの人も多いと思いますが、時代によって制度の内容など変わってきています。少し前は「子ども手当」という制度名で呼ばれていたことを覚えている人もいるでしょう。
身近に子育ての先輩世代がいると、たまにその人が経験した過去の知識でのアドバイスをされることもあります。子育て支援に限らず社会保障は申請条件や支給額など、ひんぱんに変更されているものもあるので、対象になりそうな保障があったら、かならず自分で国や自治体、該当機関のホームページなどで新しい情報を確認してください。
児童手当は子どもが生まれてから中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)、その子を育てている人に支給される社会保障です。子どもが複数の場合も人数分支給されます。支給額は以下のようになります。
●児童手当の支給額
子どもが3歳未満 1万5000円
3歳以上~小学校修了前 1万円(第3子以降は1万5000円)
中学生 1万円
※すべて月額
たとえば子どもが第1子で、後述する所得制限にかからないとすると、15歳までに受け取れる児童手当の総額は約200万円です。教育費と考えると少ない額ではありません。