この所得制限を確認するときに二つ注意する点があります。まず一つは、この制限額は「所得」なので給与などの額面収入とは異なること。所得は給与所得控除などを差し引いた額です。

 もう一つは、この額が「世帯で合算した所得」ではないことです。父親、母親とも収入を得ている場合でも「所得の高い方」の金額のみで判定します。「所得の高い方」が単身赴任などしている場合は、単身赴任先の自治体で申請となります。また、毎年「現況届」の提出が必要となっています。

 先般、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、児童手当を受けている人に「子育て世帯特別給付金」として子ども1人当たり1万円が支給されましたが、これは現状1回きりとなっています。

■ひとり親家庭のための「児童扶養手当」と東京都の「児童育成手当」

 少し前ですが厚生労働省の調査(2016年)によると、全国のひとり親世帯は約142万世帯、うち母子家庭は約123万世帯、父子家庭は約19万世帯となっています。これらの世帯の貧困率は5割以上と非常に高く、親子ともに経済的に大きな不安を抱えています。

 このような家庭には「児童扶養手当」が用意されています。対象となるのは離婚、死別などでひとり親となった場合、未婚のまま子どもを産んだ場合、また配偶者に重度の障害(身体障害者手帳1、2級程度)がある場合も含まれます。

 10年ほど前までは母子家庭しか対象としていませんでしたが、いまは親の性別は問わず、父親でも支給条件や保障内容に違いはありません。

 支給の対象となるのは、18歳まで(到達後の最初の3月31日まで)の子どもを養育している親または養育者です。児童手当とは別の制度のため、同時に受給が可能です。

 ひとり親家庭に向けた社会保障としては、就学援助やひとり親の医療費助成制度などさまざまあります。また、東京都では独自に「児童育成手当」を支給しています。

 二つの保障の一番の違いは児童扶養手当が国の支援、児童育成手当が自治体の支援という点で、受け取る側としては支給額と所得制限が異なっています。なお、児童育成手当には「障害手当」もあり、心身に一定の障害がある20歳未満の子どもを養育している人が受け取ることができます(障害手当はひとり親でなくても申請できます)。

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別名称で似たような保障があるので各自治体に確認を